はじめに
「色のシミュレータ」は、様々な色覚を持つ人の色の見え方をシミュレーションする色覚シミュレーションツールです。
男性の約5%が、赤と緑の色の区別がしにくい、濃い赤が見えにくいなどの色覚的な特徴を持っていると言われています。色覚タイプは主に、一般型(C型)、1型(P型)、2型(D型)、3型(T型)などがあることが知られており、それぞれのタイプや強度によって色の見え方が違います。
1~3型の色覚タイプを持つ人は、一般型の人なら異なって見える多くの色が、同じ色に見えてしまうという特徴があります。例えば、1型や2型の人は、赤と緑、ピンクと水色などの区別が難しい場合があります。
これらの色の見えは、色を感知する錐体細胞の働きを計算することによって、ある程度予測することが可能です。
「色のシミュレータ」は、内蔵カメラまたは画像ファイルから得た画像をリアルタイムに変換し、それぞれの色覚タイプを持つ人がどのように色が見えているのか、シミュレーションを行います。
主な機能
- リアルタイム並列シミュレーション
リアルタイムで様々なタイプの色覚のシミュレーション画像をスクリーンに出力します。最大4タイプの色覚シミュレーションを同時に実行、スクリーンを分割して同時に表示することができます。 - ユニバーサルアプリケーション
iOSバージョンは、iPhone, iPad, iPod Touchでご使用になれます。Androidバージョンはメーカや解像度が異なる様々なデバイスで動作します。 - デジタル3倍ズーム
シミュレーション中の動画像を、最大5倍までシームレスに拡大することができます。 - 入力画像
リアカメラからの入力の他、フロントカメラ(搭載モデルのみ)、写真アルバムの画像ファイルもご使用になれます。 - シミュレーション画像保存とジオタグ
シミュレーション画像をフォトアルバムに保存することができます。並列シミュレーションの画面も保存できます。保存画像にはC, P, D, Tのマーク文字が付きます。
保存するシミュレーション画像には、位置情報(ジオタグ)を付加することができます(設定による)。
動作環境
- iOSバージョン
iOS 7.0 以上が動作しているiPhone, iPad, iPod Touch。 - Andoroidバージョン
Android 5.0 (API level 21) 以上、OpenGL ES2.0以上を搭載したAndroidデバイス。(機種によっては動作しない可能性があります。)
注記
- 本アプリで使用しているシミュレーションアルゴリズムは、下記の学術論文の提案手法に基づいており、それぞれの色覚タイプを持つ人のうちもっとも強度の、2色覚者が見ているであろう色を高速演算により再現しています。
H. Brettel, F.Viénot, and J. D. Mollon: Computerized simulation of color appearance for dichromats, Journal of the Optical Society of America A, vol.14, no.10, pp.2647-2655 (Oct. 1997). - 本アプリで表示しているシミュレーション画像は、2色覚者の色の見えを特定の手法と条件下で予測したものであり、必ずしも正確とは限りません。また、色覚には個人差があります。
- 本アプリには「シミュレーション強度」を指定してシミュレーションを行う機能がありますが、これは、それぞれの色覚タイプを持つ人のうちもっとも強度の、2色覚者が見ているであろう色のシミュレーション画像を100%とし、オリジナル画像を0%として、それらの中間画像をLMS色空間上で線形補間をして求めた画像を表示する機能であり、異常3色覚(弱度の色覚異常)者の色の見えをシミュレーションするものではありません。
謝辞
- オープンソースバージョンの開発にあたって、多くの時間と労力を使ってお手伝いいただいた鵜川 裕文さん、松田 雅孝さんに感謝申し上げます。